▷000000◁正気に戻った俺は、教団に洗脳から覚めたことを悟られないようにいつも通りの生活をしながら暁 ▶000000◀恢复了理智的我,为了不让教团察觉我从洗脑中醒来,我继续过着平常的生活,同时考虑着逃出 ▷000001◁の里から脱出する方法を考えた。 ▶000001◀暁之里的方法。 ▷000002◁まず思いついたのは、一時的に外出する権利を得て、その間に脱走する方法。 ▶000002◀首先想到的是,暂时获得外出的权利,然后在那段时间里逃跑的方法。 ▷000003◁天地真道会では出家信者で、中師という位の者に1ヶ月に1日という短時間ではあるが、申請をすれ ▶000003◀在天地真道会的出家信徒中,中师这个地位的人每月只有一天的短暂时间可以申请外出 ▷000004◁ば監視付になるが外出が許可されている。 ▶000004◀虽然申请会被监视,但是外出是被允许的。 ▷000005◁この位になることが出きればこの施設から出ることは容易だが……問題なのは中師になるまでだ。 ▶000005◀如果能达到这个地位,从这个设施出去就容易了……问题是要成为中师。 ▷000006◁当時、俺の教団内での階級は中師の一つ下である小弔だった。 ▶000006◀当时,我在教团内的等级是中师的下一级,小弔。 ▷000007◁小弔には外出を申請する権利がないので、尊値を貯めて中師にならなければならない。 ▶000007◀小弔没有申请外出的权利,所以必须积累尊值成为中师。 ▷000008◁しかし、中師になるには膨大な尊値が必要で、このままのペースで働き続けていくと後3年はかか ▶000008◀然而,要成为中师需要大量的尊值,按照现在的速度继续工作还需要三年 ▷000009◁る……。 ▶000009◀时间……。 ▷000010◁時間をかければ不可能ではないが、その間にも絞悪は行われ、肉体的、精神的苦痛を与えられて教 ▶000010◀如果花时间也不是不可能,但是在这期间也会进行祓恶,受到肉体和精神上的痛苦 ▷000011◁団への畏怖は蓄積されていく。 ▶000011◀对教团的恐惧也会不断积累。 ▷000012◁……そうなれば、かつての俺の様に教団の犬になる可能性が高い。 ▶000012◀……如果这样的话,就有可能像以前的我一样沦为教团的走狗。 ▷000013◁そもそも、そんな長い時間をこんな場所で過ごしていたくはない……今は1分1秒でも早く脱出し ▶000013◀首先,我不想在这个地方度过那么长时间……现在一分一秒也想尽快逃出 ▷000014◁たいという気持ちが強かった。 ▶000014◀的心情非常强烈。 ▷000015◁正攻法での脱出がダメとなると、残るは何とかして教団の目を欺き、脱走するしかない。 ▶000015◀如果正面突破不行,只能想办法欺骗教团的看守,然后逃跑。 ▷000016◁だけど、脱走と言っても容易いことではない。 ▶000016◀但是,说逃跑也不是件容易的事。 ▷000017◁この暁の里の周囲には5mを超える壁がある。 ▶000017◀这个晓之里周围有超过5米的墙。 ▷000018◁もちろん壁に手すりなどはなく、登って超えることは不可能だ。 ▶000018◀当然墙上没有扶手,爬上去是不可能的。 ▷000019◁そうなると、脱出は施設に一カ所しかない外界との通路……正面入口しかなくなる。 ▶000019◀这样的话,逃出只能通过设施和外界的唯一通道……仅有的正面入口。 ▷000020◁だが、この正面入口には多くの監視員や警備員がおり、正面突破など当然無理。 ▶000020◀但是,这个正面入口有很多监视员和警卫,正面突破当然是不可能的。 ▷000021◁やはり、3年間この施設で耐えるしかないのか? ▶000021◀果然,只能在这个设施里忍受三年? ▷000022◁……俺が洗脳から覚めて1週間。 ▶000022◀……我从洗脑中醒来已经一周了。 ▷000023◁施設から脱出する方法は……何も思いつかなかった。 ▶000023◀逃出设施的方法……完全没有思绪。 ▷000024◁しかし、ある日突然転機が訪れた。 ▶000024◀然而,有一天突然转机来了。 ▷000025◁その日からの事は会話も含め良く覚えている……。 ▶000025◀那天的事情包括对话我都记得很清楚……。 ▷000026◁いや……忘れることなど出来なかった。 ▶000026◀不……是不可能忘记。 ▷000027◁その日俺は入浴を終え、自分のベッドで暁の里の地図を眺めていた。 ▶000027◀那天我洗完澡,躺在自己的床上看着晓之里的地图。 ▷000028◁正面入口以外に脱出できる場所が無いかを探すためだ。 ▶000028◀为了寻找除了正面入口以外的逃跑的地方。 ▷000029◁何度も注意深く地図を眺めていると、見慣れない部屋がある事に気づいた。 ▶000029◀多次仔细地看着地图,发现了一个陌生的房间。 ▷000030◁それは『外来治療室』と書かれていた部屋だ。 ▶000030◀上面写着『外来治疗室』的房间。 ▷000031◁その部屋は第4区画と呼ばれる施設の一番外側のエリアにあり、外壁に隣接した場所に孤立して存 ▶000031◀那个房间位于被称为第四区画的设施的最外侧区域,独立存在于外墙 ▷000032◁在していた。 ▶000032◀旁边。 ▷000033◁暁の里には教団信者の医師が数人おり、治療室という病院の様な施設がある。 ▶000033◀在晓之里教团信徒们有几位医生,有像医院一样的治疗室设施。 ▷000034◁ケガをしたり、病気になったらこの治療室で医師に看病してもらう。 ▶000034◀受伤或生病的话就在这个治疗室看医生。 ▷000035◁当然俺も風邪を引いたときにこの治療室で診断をしてもらったことが何度かあった。 ▶000035◀当然我也有几次感冒去这个治疗室看诊。 ▷000036◁だけど、それとは違う外来治療室という名の治療室……。 ▶000036◀但是,这个和其他不同,名字叫做外来治疗室的治疗室……。 ▷000037◁そういえば、この暁の里には外部の嘱託医が1人いると聞いたことがあった。 ▶000037◀说起来,我听说过这个晓之里有一个来自外部的派遣医生。 ▷000038◁確か、週に2回……月曜日と木曜日の深夜0時から正午12時にやって来ているらしい。 ▶000038◀好像是每周两次……周一和周四的深夜0点到中午12点会来。 ▷000039◁もしかしたら、その嘱託医が駐屯している場所なのかも知れない。 ▶000039◀说不定,这是那个派遣医生驻扎的地方。 ▷000040◁俺は不思議とその部屋が気になり、しばらく地図を眺めていた。 ▶000040◀我不知为何对那个房间感到好奇,看了一会地图。 ▷000041◁岸田 ▶000041◀岸田 ▷000042◁「理人くん、何を見ているんだい?」 ▶000042◀「理人,看什么呢?」 ▷000043◁その時、背中から急に声をかけられた。 ▶000043◀那时,突然有人从背后叫我。 ▷000044◁同じ部屋に住んでいる、岸田だ。 ▶000044◀是和我住在同一个房间的岸田。 ▷000045◁理人 ▶000045◀理人 ▷000046◁「いや……こ、これは……」 ▶000046◀「不……这、这是……」 ▷000047◁心臓が跳ね上がる。 ▶000047◀心脏跳动加速。 ▷000048◁外来治療室に気がいっており、背後の気配に気がつけなかった。 ▶000048◀注意力集中在外来治疗室,没有注意到背后的气息。 ▷000049◁この地図には脱出を考えた場所や、人通りの多い時間などが鉛筆で書かれており、他人に見られて ▶000049◀这张地图上用铅笔写着思考的逃跑点和人流多的时间等,要是被别人看到 ▷000050◁はまずいものだった。 ▶000050◀会很不妙。 ▷000051◁何とかして誤魔化そうと思ったが、いい言葉が思い浮かばない。 ▶000051◀虽然想着要糊弄过去,但是想不出好的话。 ▷000052◁岸田 ▶000052◀岸田 ▷000053◁「……? ▶000053◀「……? ▷000054◁なんだいこれは?」 ▶000054◀这是什么?」 ▷000055◁そうこうしているうちに岸田は施設の地図を見つけてしまい、それを手に取った。 ▶000055◀正在这时,岸田看到了设施的地图,拿了起来。 ▷000056◁理人 ▶000056◀理人 ▷000057◁「それはっ……!」 ▶000057◀「那是……!」 ▷000058◁岸田 ▶000058◀岸田 ▷000059◁「脱出不能……人が多い……?」 ▶000059◀「不能逃跑……人很多……?」 ▷000060◁「……。 ▶000060◀「……。 ▷000061◁理人くん……もしかしてこの施設から……」 ▶000061◀理人……难道想从这个设施……」 ▷000062◁まずい……完全に気づかれた。 ▶000062◀糟糕……完全被发现了。 ▷000063◁岸田 ▶000063◀岸田 ▷000064◁「やめたほうがいい。 ▶000064◀「我劝你放弃比较好。 ▷000065◁あの正面入口以外に外に出る場所はないよ」 ▶000065◀除了那个正面入口外没有其他可以出去的地方了」 ▷000066◁しかし、岸田は俺の脱走を咎めることはせず、そう諭しただけだった。 ▶000066◀然而,岸田并没有责备我准备逃跑,只是这样告诉我。 ▷000067◁理人 ▶000067◀理人 ▷000068◁「岸田さん……止めないんですか?」 ▶000068◀「岸田……不阻止我吗?」 ▷000069◁俺は不思議に思い、岸田に尋ねてみた。 ▶000069◀我感到奇怪,向岸田问道。 ▷000070◁岸田 ▶000070◀岸田 ▷000071◁「他の人だったら止めてたかもしれないけど、理人くんとは付き合いも長いしね……。 ▶000071◀「如果是其他人可能会阻止,但是和理人相处也很长时间了……。 ▷000072◁何があったかは知らないけれど、この施設から抜け出したいんだろう?」 ▶000072◀虽然不知道发生了什么,但是你想从这个设施逃走吧?」 ▷000073◁理人 ▶000073◀理人 ▷000074◁「え、ええ……」 ▶000074◀「是、是的……」 ▷000075◁岸田とはかれこれ10年近く一緒に過ごしており、俺にとっては兄貴のような存在だった。 ▶000075◀和岸田已经一起度过了大约近十年,对我来说他是兄长一样的人。 ▷000076◁当然信頼も厚く、お互いに助け合いながらこれまで生活してきた。 ▶000076◀当然信任也很深厚,互相帮助一起生活到现在。 ▷000077◁岸田 ▶000077◀岸田 ▷000078◁「理人くんがそう考えているのなら……僕は止めないよ。 ▶000078◀「理人这么想的话……我不会阻止的。 ▷000079◁君の人生だからね……」 ▶000079◀这是你的人生……」 ▷000080◁理人 ▶000080◀理人 ▷000081◁「あ、ありがとうございます!」 ▶000081◀「谢、谢谢!」 ▷000082◁岸田 ▶000082◀岸田 ▷000083◁「それより……僕にいい考えがある。 ▶000083◀「比起这个……我有个好主意。 ▷000084◁聞いてくれるかい?」 ▶000084◀要听听吗?」 ▷000085◁そして岸田は、自分が施設入り口で監視の仕事をしていること、木曜日の深夜の2時~3時は監視 ▶000085◀然后岸田告诉我,他在设施入口负责监视工作,周四的深夜2点到3点的监视 ▷000086◁員が2人、警備員が1人しか居ないことを教えてくれた。 ▶000086◀员只有两个人,警卫只有一个人。 ▷000087◁岸田 ▶000087◀岸田 ▷000088◁「だから、僕がその時間に監視員になる時、もう一人の監視員と警備員を引きつけておけば、入り ▶000088◀「所以,我在那个时间成为监视员的时候,吸引另一个监视员和警卫的话, ▷000089◁口を見守る人は誰もいなくなる」 ▶000089◀入口就没有人看守了」 ▷000090◁「その間に理人くんが入り口を通れば、この施設から脱走することが出来る」 ▶000090◀「在那段时间里只要理人通过入口,就可以逃出这个设施了」 ▷000091◁理人 ▶000091◀理人 ▷000092◁「ほ、本当ですか……?」 ▶000092◀「真、真的吗……?」 ▷000093◁岸田を疑っている訳ではない。 ▶000093◀我并不是在怀疑岸田。 ▷000094◁ただ、失敗したら二度とこの施設から出ることは出来ないと思った方がいい。 ▶000094◀只是,最好想着失败的话就再也不能从这个设施出去了。 ▷000095◁だから、慎重すぎるに越したことはない……。 ▶000095◀所以,越是谨慎越好……。 ▷000096◁岸田 ▶000096◀岸田 ▷000097◁「ちょっと待ってて……。 ▶000097◀「等一下……。 ▷000098◁あった……」 ▶000098◀找到了……」 ▷000099◁岸田は机の上から監視員のシフト表をとり、俺に見せてきた。 ▶000099◀岸田从桌子上拿出监视员的值班表,给我看。 ▷000100◁そこには確かに、岸田が深夜2時~3時に監視員になる時があり、他の監視員は1人、警備員も ▶000100◀上面确实写着,岸田在深夜2点到3点成为监视员,还有一段其他监视员一人,警卫员也 ▷000101◁1人しかいない時間があった。 ▶000101◀只有一个人的时间。 ▷000102◁理人 ▶000102◀理人 ▷000103◁「脱出できる時間があることはわかりました。 ▶000103◀「我知道了有能够逃跑的时间。 ▷000104◁でも、どうして岸田さんは俺のために……」 ▶000104◀但是,岸田为什么为了我……」 ▷000105◁岸田 ▶000105◀岸田 ▷000106◁「君は僕にとって弟みたいなものだから……。 ▶000106◀「你对我来说像弟弟一样……。 ▷000107◁君が思う人生を歩んで欲しいんだ」 ▶000107◀希望你走出你想走的人生」 ▷000108◁理人 ▶000108◀理人 ▷000109◁「岸田さん……」 ▶000109◀「岸田……」 ▷000110◁……こうして俺は、岸田の考えた作戦にのり、脱出を決意した。 ▶000110◀……就这样我接受了岸田的计划,决定逃跑。 ▷000111◁岸田と綿密な打ち合わせを行い、いよいよ作戦当日となった。 ▶000111◀和岸田进行了详细的讨论,终于到了作战当天。 ▷000112◁時刻は深夜1時30分。 ▶000112◀时间是深夜1点30分。 ▷000113◁俺は正面入口近くにある建物のトイレの清掃用具室の中にいた。 ▶000113◀我在正面入口附近的建筑物厕所里的清洁用具室里。 ▷000114◁この清掃用具室は男子トイレの一番奥にあり、小さな窓がついている。 ▶000114◀这个清洁用具室在男厕所的最里面,有一个小窗户。 ▷000115◁その小さな窓から正面入口と、岸田の居る監視塔を同時に見ることが出来た。 ▶000115◀从这个小窗户可以同时看到正面入口和岸田所在的监视塔。 ▷000116◁また、正面入口に2人の警備員と、監視塔の前に1人の監視員が居るのも同時に確認できた。 ▶000116◀而且,可以同时确认正面入口有两个警卫和监视塔前有一个监视员。 ▷000117◁事前の打ち合わせでは、岸田が監視員となり、監視が手薄になる時間帯の深夜2時から作戦を始め ▶000117◀事前的讨论中,岸田成为监视员,监视变得松懈的时间是深夜2点, ▷000118◁ることになっていた。 ▶000118◀随后开始逃跑作战。 ▷000119◁岸田は自分の監視順が始まってから10分後、監視室のカメラの電源を意図的に落とす。 ▶000119◀岸田在轮到自己监视开始后十分钟,故意关闭监视室的摄像头电源。 ▷000120◁電源が落ちたかどうかはここから見える監視カメラの赤いランプが消えたかどうかで判断できる。 ▶000120◀电源是否关闭可以通过这里看到的监视摄像头红灯是否熄灭来判断。 ▷000121◁それから岸田は『カメラに異常が発生した』ともう一人の監視員と正面入口にいる警備員をインカ ▶000121◀然后岸田和另一个监视员与正面入口的警卫员通过对讲机说『摄像头出现问题了』 ▷000122◁ムで呼び、2人を監視室に集める。 ▶000122◀把两个人叫到监视室集合。 ▷000123◁警備員と監視員が監視室に入ったタイミングで俺は脱走を開始、急いでトイレから出て、正面入口 ▶000123◀趁着警卫员和监视员进入监视室的时机我开始逃跑,赶紧从厕所出来,跑向正面入口 ▷000124◁に走り込み、暁の里を脱出する。 ▶000124◀逃出晓之里。 ▷000125◁その間岸田は、集まった2人を監視室に留めておけるように、コンピューター端末の検査や回線の ▶000125◀这段时间岸田为了让聚集在一起的两个人留在监视室,进行电脑终端的检查和回线 ▷000126◁チェックなど、なるべく時間がかかる作業を行わせる。 ▶000126◀检查等,尽量让他们做耗时的工作。 ▷000127◁そして、俺が脱出したのを目視した後、何事もなかったかのように電源ボタンを押して監視を再開。 ▶000127◀然后,看到我逃跑后,就像什么事情都没有发生一样按下电源按钮重新开始监视。 ▷000128◁……これが脱出作戦の概要だ。 ▶000128◀……这就是逃跑作战的概要。 ▷000129◁この作戦では岸田が監視カメラの電源を落とし、その間に俺が脱出する。 ▶000129◀这个作战中岸田关闭监视摄像头的电源,这段时间我逃跑。 ▷000130◁なので、後々俺がいなくなっても監視カメラには写っていないし、脱出場所が正面入口とは限らな ▶000130◀所以,即便后来发现我逃走也不会被监视摄像头拍到,因为逃跑的地方不一定是正面入口 ▷000131◁いので、岸田たちも咎められない。 ▶000131◀岸田他们也不会被责备。 ▷000132◁シンプルだが、警備員ともう一人の監視員を監視室に留めておければ確実に脱出できる作戦だった。 ▶000132◀虽然简单,只要让警卫员和另一个监视员留在监视室就可以确保逃跑的作战。 ▷000133◁もう一度窓の外を眺めてみる。 ▶000133◀再次尝试眺望窗外。 ▷000134◁空には雲一つ無く、綺麗な三日月が昇っていた。 ▶000143◀空中没有一片云,美丽的娥眉月升起。 ▷000135◁大丈夫だ……必ず成功する……。 ▶000135◀没问题……一定会成功……。 ▷000136◁こんな所から早く抜けだして……彼女に……。 ▶000136◀从这个地方早点逃出去……去见她……。 ▷000137◁そんな事を考えていると時刻は2時になり、岸田ともう一人の監視員、警備員が交代のためにやっ ▶000137◀想着这些事情,时间到了两点,岸田和另一个监视员,警卫员过来 ▷000138◁てきた。 ▶000138◀交班。 ▷000139◁岸田の見せてくれたシフト表の通り、この時間からは警備員が1人、監視員が2人で監視を行うよ ▶000139◀和岸田给我看的值班表一样,这个时间开始警卫员一人,监视员两人进行 ▷000140◁うだ。 ▶000140◀监视。 ▷000141◁始めにいた2人の警備員、3人の監視員が宿舎の方に帰り、岸田は監視塔の中へ入っていった。 ▶000141◀开始的两位警卫员和三位监视员回到宿舍,岸田进入了监视塔。 ▷000142◁もう一人の監視員は監視塔の前に立ち、周囲を警戒し始め、警備員も正面入口の隣に立って警備を ▶000142◀另一个监视员站在监视塔前,开始警戒周围,警卫员也站在正面入口旁边开始警戒 ▷000143◁始めた。 ▶000143◀周围。 ▷000144◁いよいよ……だ。 ▶000144◀终于……。 ▷000145◁後は監視カメラの電源が切れ、2人が監視塔に入ったタイミングで脱走を開始する。 ▶000145◀接下来是关闭监视摄像头的电源,在两人进入监视塔的时候开始逃跑。 ▷000146◁岸田が監視カメラの電源を落とすのは2時10分……。 ▶000146◀岸田关闭监视摄像头电源的时间是两点十分……。 ▷000147◁俺は流れ出る汗に嫌気を感じながら、その時を待った。 ▶000147◀我对流出的汗水感到厌恶,一边等待着那个时刻。 ▷000148◁腕時計で時刻を確認してみると、長針が『2』の数字を微かに過ぎた所だった。 ▶000148◀看了一下手表,分针刚刚稍微过了『2』这个数字的时候。 ▷000149◁その時、俺の見ていた監視カメラの赤いランプが消えた。 ▶000149◀这时,我盯着的监视摄像头红灯熄灭了。 ▷000150◁どうやら岸田が監視カメラの電源を落としたようだ。 ▶000150◀看来是岸田关闭了监视摄像头的电源。 ▷000151◁その数秒後、警備員ともう一人の監視員はインカムで何かを話し始め、監視塔の中に入っていった。 ▶000151◀几秒后,警卫员和另一个监视员开始通过对讲机说话,进入了监视塔。 ▷000152◁ついにこの時が来た……! ▶000152◀终于这个时刻到了……! ▷000153◁俺はトイレから抜け出し、全速力で正面入口に向かった。 ▶000153◀我从厕所出来,全速向正面入口跑去。 ▷000154◁途中にある花壇や植木を飛び越え、とにかく走る。 ▶000154◀跳过中间的花坛和植物,总之就是向前跑。 ▷000155◁後ろを振り返らずに走り、正面入口まで10mという所にまでやってきた。 ▶000155◀不回头地跑,跑到了距离正面入口10米的地方。 ▷000156◁後はあの大門を抜ければ……! ▶000156◀接下来就是穿过那个大门……! ▷000157◁残り5m。 ▶000157◀剩下5米。 ▷000158◁あと少しで……。 ▶000158◀就差一点……。 ▷000159◁走る速度を落とさずに全力で走る。 ▶000159◀毫不减速地全力奔跑。 ▷000160◁あと少しで……! ▶000160◀就差一点了……! ▷000161◁残り3m。 ▶000161◀剩下3米。 ▷000162◁ここを抜ければ彼女に……! ▶000162◀从这里出去就能见到她……! ▷000163◁そして、俺は暁の里の正面入口を突破し、脱出に成功した。 ▶000163◀然后,我突破了晓之里的正面入口,成功逃跑了。 ▷000164◁しかし……! ▶000164◀但是……! ▷000165◁その瞬間、目の前から大量のライトが照らされた。 ▶000165◀在那一瞬间,眼前被大量的灯光照亮。 ▷000166◁理人 ▶000166◀理人 ▷000167◁「な、何が起きた……!?」 ▶000167◀「发、发生了什么……!?」 ▷000168◁俺が驚いていると、ライトの中から教祖の柏木が現れた。 ▶000168◀我惊讶的时候,从灯光中出现了教祖柏木的身影。 ▷000169◁理人 ▶000169◀理人 ▷000170◁「柏木……!!」 ▶000170◀「柏木……!!」 ▷000171◁柏木 ▶000171◀柏木 ▷000172◁「情報の通り脱出を図ったか……愚かな奴だ」 ▶000172◀「试图按照情报逃跑吗……愚蠢的家伙」 ▷000173◁理人 ▶000173◀理人 ▷000174◁「じ、情報!? ▶000174◀「情、情报!? ▷000175◁何の事だ……?」 ▶000175◀什么事……?」 ▷000176◁今の状況を理解することが出来ない。 ▶000176◀现在的情况无法理解。 ▷000177◁いや……理解するのを拒んでいた。 ▶000177◀不……是我拒绝理解。 ▷000178◁柏木 ▶000178◀柏木 ▷000179◁「岸田くん……有益な情報をありがとう。 ▶000179◀「岸田……谢谢你有用的情报。 ▷000180◁君には大量の尊値を与えよう」 ▶000180◀我将给予你大量的尊值」 ▷000181◁??? ▶000181◀??? ▷000182◁「ありがとうございます。 ▶000182◀「非常感谢。 ▷000183◁教祖様」 ▶000183◀教祖大人」 ▷000184◁俺の背後から声が聞こえる。 ▶000184◀从我背后传来声音。 ▷000185◁その声は俺のよく聞き慣れた……男にしては高く、少しかすれた声。 ▶000185◀那个声音是我熟悉的……有点高,有点沙哑的男性声音。 ▷000186◁理人 ▶000186◀理人 ▷000187◁「き、岸田さん……?」 ▶000187◀「岸,岸田……?」 ▷000188◁後ろを振り返ると、正面入口に岸田が立っていた。 ▶000188◀回头看去,正面入口站着岸田。 ▷000189◁理人 ▶000189◀理人 ▷000190◁「貴様……! ▶000190◀「你这家伙……! ▷000191◁俺を裏切ったな!!」 ▶000191◀背叛了我!!」 ▷000192◁岸田 ▶000192◀岸田 ▷000193◁「裏切る……? ▶000193◀「背叛……? ▷000194◁理人くん……何を言っているんだい?」 ▶000194◀理人……你在说什么?」 ▷000195◁「裏切ったのはキミのほうだよ! ▶000195◀「背叛的是你啊! ▷000196◁教祖様の教えを否定し、この天地真道会から抜けようとしたんだからね!」 ▶000196◀否定教祖的教导,想要从这个天地真道会逃走!」 ▷000197◁理人 ▶000197◀理人 ▷000198◁「岸田……!」 ▶000198◀「岸田……!」 ▷000199◁もはやこいつを兄などとは思っていない。 ▶000199◀已经不再把他当作兄长。 ▷000200◁こいつは天地真道会の……柏木の狂信者だ。 ▶000200◀这家伙是天地真道会的……柏木的狂热信徒。 ▷000201◁柏木 ▶000201◀柏木 ▷000202◁「おい、こいつを独房にぶち込め」 ▶000202◀「喂,把这家伙关进牢房」 ▷000203◁白装束の信者 ▶000203◀白装束の信者 ▷000204◁「はっ!」 ▶000204◀「是!」 ▷000205◁俺が岸田を睨みつけていると、後ろから信者が近づいてきた。 ▶000205◀我盯着岸田,后面的信徒走了过来。 ▷000206◁理人 ▶000206◀理人 ▷000207◁「くっ……!」 ▶000207◀「切……!」 ▷000208◁俺はその場から逃げだそうと思ったが、周囲を大量の信者に囲まれており、何もすることが出来な ▶000208◀我想逃离那个地方,但是周围被大量的信徒围住,什么也做不了 ▷000209◁かった。 ▶000209◀。 ▷000210◁それでも、せめてもの抵抗で近くにいる信者に体当たりし、突破口を開こうと試みた。 ▶000210◀即使如此,为了抵抗,我试图用身体撞击附近的信徒,试图打开突破口。 ▷000211◁理人 ▶000211◀理人 ▷000212◁「どけええええ!」 ▶000212◀「让开!!」 ▷000213◁白装束の信者 ▶000213◀白装束の信者 ▷000214◁「……ぐっ! ▶000214◀「……咕! ▷000215◁こいつ……!」 ▶000215◀这家伙……!」 ▷000216◁白装束の信者2 ▶000216◀白装束の信者2 ▷000217◁「大人しくしろ!」 ▶000217◀「老实点!」 ▷000218◁理人 ▶000218◀理人 ▷000219◁「かはっ……!!」 ▶000219◀「咔……!!」 ▷000220◁柏木 ▶000220◀柏木 ▷000221◁「手こずらせやがって……」 ▶000221◀「让我费了不少事……」 ▷000222◁理人 ▶000222◀理人 ▷000223◁「くそっ……! ▶000223◀「该死……! ▷000224◁岸田!!」 ▶000224◀岸田!!」 ▷000225◁それから俺は両腕を縛り上げられ、暁の里に引きずられながら戻された。 ▶000225◀然后我被绑起双臂,被拖回晓之里。 ▷000226◁正面入口をくぐる瞬間、岸田と目があった。 ▶000226◀穿过正面入口的瞬间,和岸田对上了眼神。 ▷000227◁その目は、俺が今まで見たことがないほど歪んだ瞳……。 ▶000227◀那双眼睛,是我从来没有见过的扭曲的瞳孔……。 ▷000228◁何かに取り憑かれた……悪魔のような瞳だった。 ▶000228◀好像被什么东西附身……恶魔一样的眼睛。 ▷000229◁その後俺は、第4区画……幹部信者しか入れない場所に連れて行かれた。 ▶000229◀之后我被带到了第四地区……只有干部信徒才能进入的地方。 ▷000230◁この区画には柏木の寝室や、幹部が会議を行う建物がある。 ▶000230◀这个地区有柏木的寝室和干部开会的建筑。 ▷000231◁そんな場所で、俺はある建物を見つけた。 ▶000231◀在那个地方,我找到了一个建筑。 ▷000232◁その建物は独立した小さな平屋で、裏には白いセダンが止まっていた。 ▶000232◀那个建筑是独立的小平房,后面停着一辆白色轿车。 ▷000233◁理人 ▶000233◀理人 ▷000234◁(あれは……外来治療室か……?) ▶000234◀(那是……外来治疗室吗……?) ▷000235◁岸田の計画にのる前、気になっていた外来治療室と思われる建物を見つけた。 ▶000235◀在接受岸田的计划之前,找到了当时很在意的外来治疗室。 ▷000236◁だが……。 ▶000236◀但是……。 ▷000237◁岸田の計画にのって脱走に失敗した今、そんな事はもう……どうでも良かった……。 ▶000237◀接受了岸田的计划,逃跑失败了,如今这种事情已经……无所谓了……。 ▷000238◁それから俺は、一際大きな建物の中に入れられた。 ▶000238◀之后我被带进了一个特别大的建筑之中。 ▷000239◁その建物の中は他の建物とは違い、豪華な装飾が施されていたのを覚えている。 ▶000239◀那个建筑内部和其他建筑不同,我记得装饰非常豪华。 ▷000240◁しかし、俺が連れて行かれたのはその建物の地下だった。 ▶000240◀然而,我被带到了那个建筑的地下。 ▷000241◁長い石階段を下りると、そこには厳重に鍵をかけられた一つの扉があった。 ▶000241◀走下长长的石阶,那里有一扇严密锁着的门。 ▷000242◁信者の一人がその扉を開け、中へと連れて行かれた。 ▶000242◀信徒中的一个人打开了那扇门,将我带了进去。 ▷000243◁扉の奥には鉄格子で出来た部屋……牢獄がいくつもあり、中に人がいる所もあった。 ▶000243◀门后面是用铁栅栏做的房间……有很多牢狱,也有人被关在里面。 ▷000244◁彼らは皆死んだ魚の様な目をしており、生きているのか死んでいるのかわからなかった……。 ▶000244◀他们都有着死鱼一样的眼睛,不知道是活着还是死了……。 ▷000245◁俺はその地下室の一番奥にある牢獄に放り込まれた。 ▶000245◀我被扔进了地下室最深处的牢狱之中。 ▷000246◁白装束の信者 ▶000246◀白装束の信者 ▷000247◁「ここで反省しろ。 ▶000247◀「在这里反省。 ▷000248◁貴様の犯した罪を償え」 ▶000248◀你要为你犯下的罪而赎罪」 ▷000249◁それから、俺を連れてきた信者は鉄格子の扉に鍵をかけ、地下室から去っていった。 ▶000249◀这之后,带我来的信徒锁上了铁栅栏的门,离开了地下室。 ▷000250◁理人 ▶000250◀理人 ▷000251◁(反省だと……? ▶000251◀(反省……? ▷000252◁ふざけるな) ▶000252◀别开玩笑) ▷000253◁(こんな場所……すぐに抜け出してやる……) ▶000253◀(这种地方……我马上就要逃出去……) ▷000254◁この場所から抜け出すためなら人殺しも厭わないほどの怒りと憎悪に包まれる。 ▶000254◀为了从这个地方逃出去,我被甚至不介意杀人的愤怒和憎恨包围。 ▷000255◁チャンスは必ずある……。 ▶000255◀机会一定会有的……。 ▷000256◁この地下牢を出た時、何とかして逃げ出せば……。 ▶000256◀从这个地下牢出来之时,总有办法逃出去……。 ▷000257◁それからどのくらいの時間が経ったのだろう……。 ▶000257◀之后过了多久的时间呢……。 ▷000258◁牢獄内にはトイレがあるだけで、他には何もない。 ▶000258◀牢狱里只有厕所,其他什么都没有。 ▷000259◁感覚だが、牢獄に入れられて一週間が経ったくらいだろうか……? ▶000259◀感觉,被关进牢狱已经过去了大约一周了吧……? ▷000260◁その間、幹部達が定期的にやってきて絞悪を行ったが、俺は彼女に会うという強い意志で耐えた。 ▶000260◀这期间,干部们定期来进行祓恶,但是我凭借见她的强烈意志熬了过去。 ▷000261◁食事は1日に食パン1枚しか与えられず、空腹で頭がうまく働かない。 ▶000261◀伙食一天只给一片面包,饥饿使头脑无法正常工作。 ▷000262◁もしかして、このまま栄養失調で餓死させる気か……? ▶000262◀难道,是想让我营养不良饿死吗……? ▷000263◁そんな事も考え始めた時、地下牢の扉が開く音がした。 ▶000263◀开始考虑这种事的时候,地下牢的门发出了开门的声音。 ▷000264◁それから、3人の人間が俺の牢獄の前に立った。 ▶000264◀之后,三个人站在我的牢狱前。 ▷000265◁一人は教祖の柏木、他の2人は白装束の信者だ。 ▶000265◀一个是教祖柏木,另外两个是白装束的信徒。 ▷000266◁信者が俺の牢獄の鍵を開けると、柏木が中に入ってきた。 ▶000266◀信徒打开了我的牢狱门,柏木走了进来。 ▷000267◁理人 ▶000267◀理人 ▷000268◁「柏木……! ▶000268◀「柏木……! ▷000269◁貴様……!」 ▶000269◀你这家伙……!」 ▷000270◁柏木 ▶000270◀柏木 ▷000271◁「ふむ……1週間ほとんど何も与えなかったにしては威勢がいい……。 ▶000271◀「嗯……一周几乎什么都没给,但精神状态还不错…… ▷000272◁ま、それもここまでだがな……!」 ▶000272◀不过,也就到此为止了……!」 ▷000273◁そう言うと柏木は信者から1本の注射器を受け取った。 ▶000273◀说完,柏木从信徒那里接过了一支注射器。 ▷000274◁理人 ▶000274◀理人 ▷000275◁「な、なんだそれは……」 ▶000275◀「什、什么东西……」 ▷000276◁柏木 ▶000276◀柏木 ▷000277◁「そんな怖い顔をするなよ……。 ▶000277◀「别露出这么害怕的表情…… ▷000278◁これは危ないモノじゃなくて、お前の興奮を抑えて、落ち着かせる薬だ……」 ▶000278◀这不是什么危险的东西,是用来抑制你的兴奋,让你冷静下来的药……」 ▷000279◁「おい、こいつの身体を押さえつけろ」 ▶000279◀「喂,把这家伙的身体按住」 ▷000280◁白装束の信者 ▶000280◀白装束の信者 ▷000281◁「はっ!」 ▶000281◀「是!」 ▷000282◁柏木の命令で2人の信者が俺の体を押さえつけ、腕を露出させた。 ▶000282◀在柏木的命令下,两名信徒按住我的身体,把我的手臂露了出来。 ▷000283◁理人 ▶000283◀理人 ▷000284◁「や、やめろ! ▶000284◀「停、停下! ▷000285◁そんな薬、俺には必要ない……!」 ▶000285◀这种药,我不需要……!」 ▷000286◁柏木 ▶000286◀柏木 ▷000287◁「往生際の悪い奴だ……。 ▶000287◀「真是个死到临头还嘴硬的家伙……。 ▷000288◁まあいい……すぐに静かになる……」 ▶000288◀不过……马上就会安静下来……」 ▷000289◁注射器を片手に、俺に迫る柏木。 ▶000289◀柏木一只手里拿着注射器,向我走来。 ▷000290◁屈強な信者2人に押さえられているので身動きが取れない。 ▶000290◀我被两个强壮的信徒按住,动弹不得。 ▷000291◁理人 ▶000291◀理人 ▷000292◁「や、やめろ……。 ▶000292◀「停、停下……。 ▷000293◁やめろおおおおおおおおお!!」 ▶000293◀停下啊啊啊啊啊啊啊啊啊!!」 ▷000294◁理人 ▶000294◀理人 ▷000295◁「こ、これは……。 ▶000295◀「这,这是……。 ▷000296◁なん……」 ▶000296◀什……」 ▷000297◁「……」 ▶000297◀「……」 ▷000298◁それから薬が効き始めると言葉を話せなくなり、何も考えることが出来なくなった……。 ▶000298◀之后药开始起作用,无法说话,也无法思考……。 ▷000299◁今思えば、あの薬は精神を極限まで落ち着かせる薬物だったんだろう……。 ▶000299◀现在想来,那种药物应该是极限地镇定精神的药物吧……。 ▷000300◁それからしばらく……そんな薬を毎日朝、夕2回打たれ続けた。 ▶000300◀之后一段时间……每天早晚两回都被打了那种药。 ▷000301◁俺の思考が停止したことを確認した教団は、さすがに死体を出すことは恐れていたのか、食事だけ ▶000301◀教团确认了我停止思考,但毕竟害怕出现尸体,最底线的一日三餐 ▷000302◁は1日3食しっかりと与えてくれた。 ▶000302◀还是有好好的给我。 ▷000303◁それでも、何もない牢獄で何も考えられずに過ごす日々は……もはや死んでいるのと同じだった。 ▶000303◀即使如此,在空无一物的牢狱里无法思考的日子……已经和死了一样。 ▷000304◁ある日を境に、薬の投与と同時に教団の人間が説法を始めた。 ▶000304◀有一天,注射药物的同时,教团的人开始讲教法。 ▷000305◁その内容は『教祖を崇めよ』、『人間は皆悪』、『現世から解き放たれよ』などといった、絞悪の ▶000305◀内容是『崇拜教祖』、『人类都是恶的』、『从现世解放』等等,我想和祓恶的 ▷000306◁時に白装束の信者が話すような内容だったと思う……。 ▶000306◀时候白装束的信者说的内容一样。 ▷000307◁そんな言葉を延々と1時間ほど耳元で囁かれる。 ▶000307◀那样的话语不断地在耳边低语一个小时左右。 ▷000308◁するとどうしてか……何も考えられなかったはずの脳に、その言葉が強く刻み込まれる。 ▶000308◀然后不知为何……本来无法思考的大脑,那些话语被深深地刻在里面。 ▷000309◁そんな行為が1週間も続くと、俺の脳は彼らの言葉こそが世界の真理であるとすり込まれてしまっ ▶000309◀那样的行为持续了一周,被她们灌输的话语,便是被植入我大脑的 ▷000310◁た。 ▶000310◀真理。 ▷000311◁そう……俺は再び彼らに洗脳されてしまったんだ……。 ▶000311◀是的……我再次被他们洗脑了……。 ▷000312◁ただ、以前に洗脳されていた時と、今回の洗脳ではその度合いが全く異なっていた。 ▶000312◀只是,和以前被洗脑时想必,这次的洗脑程度完全不同。 ▷000313◁以前は洗脳されていたとはいえ他人との会話やコミュニケーションを取ることは問題なくできてい ▶000313◀以前虽然被洗脑,但和他人交流和沟通没有问题 ▷000314◁た。 ▶000314◀的。 ▷000315◁しかし、今回は言葉をしゃべることが出来ず、頭で考えることもできない。 ▶000315◀但是,这次无法说话,也无法思考。 ▷000316◁辛うじて脳内で自分の状況を認識することは出来たが、自分の意志で行動することは出来なかった。 ▶000316◀勉强能意识到自己的状况,但是无法自己行动。 ▷000317◁さざなみの園の少女の事も、この頃には考えることができなくなっていた……。 ▶000317◀这个时候已经无法想起水波园的少女了……。 ▷000318◁教団は俺への洗脳が大方完了すると、俺を仕事場の工場に戻し、働かせ始めた。 ▶000318◀教团对我的洗脑基本完成后,把我送回工厂,开始让我工作。 ▷000319◁仕事内容は以前と変わらない単純な機械のプレス作業だったが、俺の周りには常に監視の人間が ▶000319◀工作内容和以前一样,是简单的机械压制工作,但是周围总是有人监视 ▷000320◁立ち、一挙一動に目を光らせていた。 ▶000320◀着,目光紧盯着我的一举一动。 ▷000321◁そんな中で、俺の意志とは関係なく……体が勝手に動いて作業をする。 ▶000321◀在这种情况下,不受我的意志控制……身体便自行动起来工作。 ▷000322◁仕事が終わると再び地下の牢獄に戻され、薬や説法による洗脳行為も引き続き行われた。 ▶000322◀工作结束后再次被送回地下牢狱,药物和教法的洗脑行为继续进行。 ▷000323◁もはや施設から脱出しようなどという考えはなく……勝手に動いている体をただただ傍観している ▶000323◀我已经没有逃出设施的想法……只是在旁边旁观自己不受控制的 ▷000324◁だけだった。 ▶000324◀身体。 ▷000325◁俺が投獄されてから、どれほどの日数が経っていたのだろう……。 ▶000325◀我被送入监狱后,过了多少天呢……。 ▷000326◁自分の体をコントロール出来なくなり、傍観を続けていた俺に一つの感情が芽生えた。 ▶000326◀无法控制自己的身体,继续在旁边旁观的我产生了一种感情。 ▷000327◁『はやく……殺してくれ……』 ▶000327◀『快点……杀了我……』 ▷000328◁自分の意志で動けず、教団の操り人形となってしまった俺は、生きているとは言えなかった。 ▶000328◀我无法控制自己的意志,成为教团的傀儡,虽然活着,但不能说是活着。 ▷000329◁その感情……死への渇望は、それからどんどんと増大していった。 ▶000329◀那种感情……对死亡的渴望,之后不断增大。 ▷000330◁そして……。 ▶000330◀然后……。 ▷000331◁その日の食事はパスタだった。 ▶000331◀那天的食物是意大利面。 ▷000332◁パスタといっても、茹でた麺に塩をまぶしただけの、おおよそ料理とは呼べない物だ。 ▶000332◀虽然说是意大利面,但只是撒了盐的煮面,基本上不能称之为料理。 ▷000333◁それでも、その食事には通常の食事にはない食器……フォークがついていた。 ▶000333◀即使如此,这顿饭有不同于平常的餐具……叉子。 ▷000334◁いつものように無意識に食事を頬張っていた俺に、一つの考えが浮かんだ。 ▶000334◀像往常一样无意识地吃着饭的我,突然有了一个想法。 ▷000335◁このフォークで喉元を切り裂けば……死ぬことが出来るんじゃないのか……。 ▶000335◀用这个叉子划开喉咙……不就可以死了吗……。 ▷000336◁普段ならそんな事を考えても体が反応しないはずだが、その時だけは違った。 ▶000336◀平时身体对这种想法不会有反应,但只有那时却不同。 ▷000337◁フォークを持っている右手を……自由に動かすことが出来た。 ▶000337◀握着叉子的右手……可以自由地动。 ▷000338◁そこからは、迷うことはなかった。 ▶000338◀那之后的事,就没有犹豫了。 ▷000339◁右手に握りしめたフォークを、首筋の大動脈に近づけ……。 ▶000339◀右手握着的叉子,靠近颈动脉……。 ▷000340◁思いっきり突き刺した。 ▶000340◀狠狠地刺了下去。 ▷000341◁……はずだったのだが、その直前に俺の視界はホワイトアウトし、意識が途切れた。 ▶000341◀……本来是这样的,但就在那之前的一瞬间,我的视野变白,意识中断了。 ▷000342◁そして、意識が戻った時……。 ▶000342◀然后,恢复意识的时候……。 ▷000343◁俺の目の前にはアイツが……。 ▶000343◀那家伙在我的眼前出现了……。 ▷000344◁アズラーイールが……いた。 ▶000344◀亚兹拉尔……在那里。 ▷000345◁白と黒が支配する、今までいた世界とは異なる場所で、俺は異形の存在……アズラーイールに会っ ▶000345◀统治着黑与白的,和之前所在的世界不同的地方,我遇到了怪异之人……亚兹拉尔 ▷000346◁た。 ▶000346◀。 ▷000347◁アズラーイールは俺の前に立ち、ここが臨界天と呼ばれる場所で、自分が人間の寿命を集める存在 ▶000347◀亚兹拉尔站在我面前说了:这里是被称为临界天的地方,自己是收集人类寿命 ▷000348◁だと語った。 ▶000348◀之人。 ▷000349◁それからアズラーイールは、ここが時間の概念から超越した場所である事や、自分が寿命を集める ▶000349◀之后亚兹拉尔说了:这里是超越时间概念的地方,自己收集寿命的 ▷000350◁理由、この世界の仕組みなどを話していたが……。 ▶000350◀理由,这个世界的构造等等……。 ▷000351◁全く頭に入ってこなかったし、正直どうでも良かった。 ▶000351◀完全听不进去,说实话也无所谓。 ▷000352◁そもそも……俺は生きるのが嫌になり自殺をしたはずなのに、どうしてこんな訳の分からない場所 ▶000352◀再说……明明讨厌活着自杀了,为什么会在这种不知所云的地方 ▷000353◁にいるのだろうか。 ▶000353◀呢。 ▷000354◁もう何でもいいから早く殺して欲しかった。 ▶000354◀什么都无所谓,只想快点死。 ▷000355◁頭でそんな事を考えていると、アズラーイールは俺の思考が読めるのか、それ以上説明するのをや ▶000355◀在头脑中想着这种事,亚兹拉尔能读懂我的思考,停止了解释, ▷000356◁めて本題に入った。 ▶000356◀进入了正题。 ▷000357◁アズラーイール ▶000357◀アズラーイール ▷000358◁「お前の残りの寿命と引き替えに、理想の世界を生きたくはないか?」 ▶000358◀「用你剩下的寿命交换,你不想换取你想要生活的理想世界吗?」 ▷000359◁アズラーイールは死を望む俺にそう話した。 ▶000359◀亚兹拉尔对渴望死亡的我说。 ▷000360◁……理想の世界? ▶000360◀……理想的世界? ▷000361◁俺にとっての理想の世界って何だ? ▶000361◀对我来说的理想世界是什么? ▷000362◁少なくとも、さっきまで俺が生きていた世界では無いことは確かだった。 ▶000362◀至少,我明白和我刚才生活的世界不同。 ▷000363◁アズラーイールが言うには、理想の世界とは文字通り全てが理想的に作られている世界だそうだ。 ▶000363◀据亚兹拉尔说,理想的世界就是字面意思上的,所有都是理想的世界。 ▷000364◁大金持ちになりたければそれが叶う世界。 ▶000364◀想成为大富翁就会成为大富翁的世界。 ▷000365◁地位や名声が欲しければそれが得られる世界。 ▶000365◀想要地位和名声就会得到的世界。 ▷000366◁とにかく、契約者が望む理想的な世界を生きることが出来るらしい。 ▶000366◀总之,契约者可以生活在希望的理想世界之中。 ▷000367◁バカバカしい……そんな事が出来る訳ない……。 ▶000367◀愚蠢……那种事怎么可能做到……。 ▷000368◁そう考えていたが、アズラーイールは俺の脳内に一つの映像を流した。 ▶000368◀虽然这样想,但亚兹拉尔在我的脑内放映了一个画面。 ▷000369◁……それは、俺と死んだはずの両親が仲良く食事をしている風景だった。 ▶000369◀……那是,我和已经死去的父母和睦地吃饭的场景。 ▷000370◁始めは両親が亡くなる前の光景だと思ったが、よく見てみると俺の姿は死を決意した22歳の姿 ▶000370◀开始以为是父母去世前的场景,仔细看的话,我的身影是一心求死的22岁的样子 ▷000371◁で、両親も50代くらいで老けて見える。 ▶000371◀父母也看起来50多岁有些老了。 ▷000372◁そして、アズラーイールはこの光景が俺の望む理想の世界だと語った。 ▶000372◀然后,亚兹拉尔说这个场景是我所希望的理想世界。 ▷000373◁アズラーイール ▶000373◀アズラーイール ▷000374◁「お前の両親が死なず、かつての夢だった建築関係の仕事に就く世界……」 ▶000374◀「你的父母没有死,从事以前梦想的建筑工作的世界……」 ▷000375◁「生きてみたくねーか?」 ▶000375◀「不想生活一下吗?」 ▷000376◁その時、俺の中で一つの好奇心が生まれた。 ▶000376◀那时,我内心产生了一种好奇心。 ▷000377◁両親が死ななくて、好きな仕事が出来る……理想の世界。 ▶000377◀父母没有死,可以做喜欢的工作……理想的世界。 ▷000378◁そんな世界を……生きてみたい。 ▶000378◀这样的世界……想要生活下去。 ▷000379◁そう考えると、アズラーイールは満面の笑みを浮かべた。 ▶000379◀这样想,亚兹拉尔露出了满脸的笑容。 ▷000380◁それからアズラーイールは早口で寿命の換算方法を話したが、あまり覚えていない。 ▶000380◀之后亚兹拉尔快速地说了寿命的换算方法,但不太记得了。 ▷000381◁結果として、俺はアズラーイールと契約を結んだ。 ▶000381◀结果,我和亚兹拉尔签订了契约。 ▷000382◁現実世界の寿命を払って……理想の世界を生きる権利を買ったんだ……。 ▶000382◀用现实世界的寿命……买到了生活在理想世界的权利……。 ▷000383◁アズラーイール ▶000383◀アズラーイール ▷000384◁「ちゃんと全部思い出せたみたいだな! ▶000384◀「好好地全部想起来了呢! ▷000385◁優秀優秀!」 ▶000385◀优秀优秀!」 ▷000386◁アズラーイールは手をパチパチさせながら笑った。 ▶000386◀亚兹拉尔拍着手笑了。 ▷000387◁理人 ▶000387◀理人 ▷000388◁「つまり……俺がさっきまで生きていた世界は……。 ▶000388◀「也就是……我刚才生活的世界是……。 ▷000389◁お前が見せていた作り物の世界って事か……!」 ▶000389◀你展示的虚构的世界吗……!」 ▷000390◁アズラーイール ▶000390◀アズラーイール ▷000391◁「作り物って訳じゃないが……お前の本当の世界じゃない。 ▶000391◀「虽说不是虚构的……但也不是你的真实世界。 ▷000392◁お前の本当の世界は……」 ▶000392◀你的真实世界是……」 ▷000393◁アズラーイール ▶000393◀アズラーイール ▷000394◁「両親が事故死し、 ▶000394◀「双亲因事故而死, ▷000395◁カルト宗教の施設に入れられ、 ▶000395◀被送入邪教设施, ▷000396◁脱走に失敗し、 ▶000396◀逃跑失败, ▷000397◁薬漬けにされて自由が奪われ ▶000397◀被灌药,自由被剥夺 ▷000398◁た世界」 ▶000398◀的世界」 ▷000399◁アズラーイール ▶000399◀アズラーイール ▷000400◁「それが……お前の本当の世界だ」 ▶000400◀「那就是……你的真实世界」 ▷000401◁理人 ▶000401◀理人 ▷000402◁「そ……そんな……。 ▶000402◀「这……这样……。 ▷000403◁麗美は……莉々菜は……」 ▶000403◀丽美呢……莉莉菜呢……」 ▷000404◁アズラーイール ▶000404◀アズラーイール ▷000405◁「麗美……?」 ▶000405◀「丽美……?」 ▷000406◁「ああ……お前が理想世界で結婚していた女か。 ▶000406◀「啊……和你在理想世界结婚的女人吗。 ▷000407◁ちょっと待ってろ……今調べてやる」 ▶000407◀等等……我现在查一下」 ▷000408◁そう言うとアズラーイールは、纏っていた黒いローブの中から1冊の書物を取り出した。 ▶000408◀这样说着,亚兹拉尔从身上的黑袍里拿出了一本书。 ▷000409◁アズラーイール ▶000409◀アズラーイール ▷000410◁「この書物には、お前の本来の世界に生きている人間の名前と寿命が全て記載されている。 ▶000410◀「这本书里,记录了你本来的世界里生活的所有人的名字和寿命。 ▷000411◁え~と……長島麗美は……」 ▶000411◀嗯……长岛丽美是……」 ▷000412◁理人 ▶000412◀理人 ▷000413◁「お、おい……やめろ……」 ▶000413◀「喂……喂……快停下……」 ▷000414◁アズラーイール ▶000414◀アズラーイール ▷000415◁「う~ん……」 ▶000415◀「嗯……」 ▷000416◁「ない!」 ▶000416◀「没有!」 ▷000417◁「何処を探してもお前の愛した長島麗美の名前がない。 ▶000417◀「无论怎么找,都没有你所爱的长岛丽美的名字。 ▷000418◁つまり、お前の本当の世界に長島麗美は存在しない!」 ▶000418◀也就是说,你的真实世界里没有长岛丽美!」 ▷000419◁「もちろん娘の莉々菜もな!」 ▶000419◀「当然女儿莉莉菜也没有!」 ▷000420◁「ま、違う世界だからしょうがない。 ▶000420◀「嘛,因为是不同的世界所以没办法。 ▷000421◁諦めな!」 ▶000421◀放弃吧!」 ▷000422◁目の前が真っ暗になる。 ▶000422◀眼前一片黑暗。 ▷000423◁今まで俺が生きていたと思っていた世界は、本当の世界ではなくて……夢の世界。 ▶000423◀我一直以为生活的世界,不是真实的世界……是梦的世界。 ▷000424◁本当の世界は、自殺を考えるほど辛い世界……。 ▶000424◀真实的世界是,痛苦到想自杀的世界……。 ▷000425◁アズラーイール ▶000425◀アズラーイール ▷000426◁「お前が臨界天に戻されたのは、契約時に結んだ理想世界での寿命が尽きたからだ」 ▶000426◀「你被送回临界天,是因为契约时签订的理想世界的寿命用完了」 ▷000427◁「ようは時間切れって事だな!」 ▶000427◀「就是时间到了!」 ▷000428◁「それまでに何度も現実世界の記憶を夢として見せていただろ?」 ▶000428◀「在那之前多少次把现实世界的记忆当作梦展示给你了?」 ▷000429◁「あれは理想世界での残りの寿命が少なくなっている事をお前に知らせる警告みたいなもんだった ▶000429◀「那是类似于你理想世界的剩余寿命已经不多的对你的 ▷000430◁のさ」 ▶000430◀警告」 ▷000431◁「そんな事まで教えてあげるオレって優しいだろ?」 ▶000431◀「连这种事都告诉你,我真是好心吧?」 ▷000432◁先ほどから人をバカにしたような態度で話をする死神。 ▶000432◀从刚才开始,像看不起人一样的态度说话的死神。 ▷000433◁間違いない……こいつには人を思う『心』がない。 ▶000433◀毫无疑问……这家伙没有对人的『心』。 ▷000434◁人間の事を……ただのモノとしか見ていない。 ▶000434◀对人类……只是看作物品。 ▷000435◁理人 ▶000435◀理人 ▷000436◁「ふざけるな……。 ▶000436◀「别开玩笑……。 ▷000437◁俺があの悪夢にどれだけ悩まされていたか……!」 ▶000437◀我在那个恶梦中受了多少苦……!」 ▷000438◁アズラーイール ▶000438◀アズラーイール ▷000439◁「だから夢じゃなくて現実だっての……」 ▶000439◀「所以不是梦而是现实……」 ▷000440◁「結局最後は夢が現実となり、現実が夢となってお前はここに帰ってきたんだよ」 ▶000440◀「最后梦成了现实,现实成了梦,你回到这里」 ▷000441◁「……あれ? ▶000441◀「……咦? ▷000442◁夢? 現実?」 ▶000442◀梦? 现实?」 ▷000443◁「オレもよく分からなくなってきたぞ!」 ▶000443◀「我也搞不清楚了!」 ▷000444◁理人 ▶000444◀理人 ▷000445◁「……」 ▶000445◀「……」 ▷000446◁今すぐにでもこいつを殺してやりたかったが……アズラーイールの発する圧倒的な威風の前に、俺 ▶000446◀现在就想杀了这家伙,但在亚兹拉尔发出的压倒性威风面前,我 ▷000447◁は何もすることが出来なかった。 ▶000447◀什么也做不了。 ▷000448◁アズラーイール ▶000448◀アズラーイール ▷000449◁「覚えていないようだからもう一度話すが、この契約は現実世界の残りの寿命1週間と、理想世界 ▶000449◀「看起来不记得了,再说一次,这个契约是用现实世界的剩余寿命1周和理想世界 ▷000450◁の寿命1日を引き換えるというもの」 ▶000450◀的寿命1天交换」 ▷000451◁「お前は現実世界での残りの寿命と、理想世界での寿命8年……正確には8年と5日を交換したん ▶000451◀「你用现实世界的剩余寿命和理想世界的寿命8年……准确来说8年加上5天交换 ▷000452◁だ」 ▶000452◀了」 ▷000453◁理人 ▶000453◀理人 ▷000454◁「8年だと……? ▶000454◀「8年? ▷000455◁嘘をつくな」 ▶000455◀别骗人了」 ▷000456◁「俺があの世界……理想の世界で倒れたのは30歳だぞ……? ▶000456◀「我在那个世界……理想的世界倒下的时候是30岁……? ▷000457◁その契約が正しいのなら、俺は8歳の時に死んでいなければおかしい」 ▶000457◀如果那个契约是正确的,我不在8岁的时候就死就不对了」 ▷000458◁アズラーイール ▶000458◀アズラーイール ▷000459◁「何もおかしくないぞ」 ▶000459◀「没有什么不对」 ▷000460◁「お前があの世界で生きたのは2021年4月1日7時33分から8年と5日……。 ▶000460◀「你在那个世界生活的时间是2021年4月1日7时33分到8年加上5天……。 ▷000461◁2029年4月6日7時33分までだ」 ▶000461◀2029年4月6日7时33分」 ▷000462◁「つまり、お前とオレが契約した時……2021年4月1日7時33分からお前の理想の世界は始 ▶000462◀「也就是说,你和我签订契约的时候……2021年4月4日7时33分开始就是你的理想世界的 ▷000463◁まった」 ▶000463◀开始」 ▷000464◁理人 ▶000464◀理人 ▷000465◁「バカな……! ▶000465◀「怎么可能……! ▷000466◁俺にはちゃんとあの世界での幼い頃の記憶がある!」 ▶000466◀我在那个世界有幼年时的记忆!」 ▷000467◁「優しい両親と過ごした記憶が……!」 ▶000467◀「和亲切的父母一起度过的记忆……!」 ▷000468◁アズラーイール ▶000468◀アズラーイール ▷000469◁「まだわからないのか?」 ▶000469◀「还不明白吗?」 ▷000470◁「それはオレがお前に植え付けてやった記憶だ」 ▶000470◀「那是我植入给你的记忆」 ▷000471◁「現実世界での辛い記憶を持って理想世界を生きるのなんて嫌だろ?」 ▶000471◀「带着现实世界的痛苦记忆生活在理想世界不是很讨厌吗?」 ▷000472◁「だから、お前の現実世界での記憶を封印し、2021年4月1日以前の理想世界の記憶を与えて ▶000472◀「所以,封印你的现实世界记忆,给你2021年4月1日以前的理想世界记忆 ▷000473◁やった」 ▶000473◀了」 ▷000474◁「……やっぱオレって優しいよな?」 ▶000474◀「……我真是好心吧?」 ▷000475◁理人 ▶000475◀理人 ▷000476◁「あ、あの世界の2021年4月1日以前の記憶が全て作り物だっていうのか……?」 ▶000476◀「那,那个世界2021年4月1日以前的记忆全都是虚构的吗……?」 ▷000477◁アズラーイール ▶000477◀アズラーイール ▷000478◁「だから……作り物じゃなくて、別の平行世界のお前が経験した本当の記憶なんだが……」 ▶000478◀「所以……不是虚构的,而是另一个平行世界的你所经历的真实记忆……」 ▷000479◁「面倒だから作り物って事でいいぞ!」 ▶000479◀「解释起来很麻烦所以就当成是虚构的吧!」 ▷000480◁理人 ▶000480◀理人 ▷000481◁「この……死神が……!」 ▶000481◀「你这……死神……!」 ▷000482◁アズラーイール ▶000482◀アズラーイール ▷000483◁「おーこわ」 ▶000483◀「哦可怕」 ▷000484◁「話が進まないから戻すぞ?」 ▶000484◀「这个话题进展不下去了就说回来了?」 ▷000485◁「お前は残りの寿命のほぼ全てと、理想世界での寿命8年を交換した」 ▶000485◀「你用剩余寿命的几乎全部和理想世界的寿命8年交换了」 ▷000486◁「もう一度言うが、この契約は現実世界の残りの寿命1週間と、理想世界の寿命1日を交換するも ▶000486◀「再说一次,这个契约是现实世界的剩余寿命1周和理想世界的寿命1天交换 ▷000487◁のだ」 ▶000487◀的」 ▷000488◁「さて……お前は現実世界の寿命をどの位使ったか分かるか?」 ▶000488◀「那么……你知道用了多少现实世界的寿命吗?」 ▷000489◁理人 ▶000489◀理人 ▷000490◁「……。 ▶000490◀「……。 ▷000491◁現実世界の1週間が理想世界での1日だとしたら……単純に7倍の差が出る」 ▶000491◀现实世界的1周是理想世界的1天的话……简单地是7倍的差 ▷000492◁「8年と交換したのだとしたら……」 ▶000492◀「交换了8年的话……」 ▷000493◁「!! ▶000493◀「!! ▷000494◁ご、56年!?」 ▶000494◀5,56年!?」 ▷000495◁アズラーイール ▶000495◀アズラーイール ▷000496◁「正解!! ▶000496◀「正确!! ▷000497◁よくわかったじゃねーか!」 ▶000497◀理解的很快嘛!」 ▷000498◁「正確には5日分もあるから、56年と5週間だけどな。 ▶000498◀「准确来说有5天,所以是56年加上5周, ▷000499◁そんでもって、その56年と5週間はお前の残りの寿命ほぼ全てに値する」 ▶000499◀然后,这56年加上5周几乎等于你的剩余寿命 ▷000500◁「残るのは端数の4日と4時間21分。 ▶000500◀「剩下的是零头的4天加上4小时21分。 ▷000501◁つまり、現実世界でのお前の残りの寿命は4日と4時間21分」 ▶000501◀也就是说,现实世界的你剩下的寿命是4天和4小时21分」 ▷000502◁「厳密に言うと、お前が自殺を決意した2021年4月1日7時33分から数えて100時間と2 ▶000502◀「严格来说,你决定自杀的2021年4月1日7时33分开始算100小时加上2 ▷000503◁1分後……」 ▶000503◀1分后……」 ▷000504◁「2021年4月5日11時54分までだ」 ▶000504◀「到2021年4月5日11时54分」 ▷000505◁理人 ▶000505◀理人 ▷000506◁「4日……!? ▶000506◀「4天……!? ▷000507◁たったそれだけ……だと……」 ▶000507◀只有这么点……的话……」 ▷000508◁アズラーイール ▶000508◀アズラーイール ▷000509◁「そう! たったの4日だけ!!」 ▶000509◀「是的! 只有4天!!」 ▷000510◁「そんな短い時間じゃ生きていても何も出来ません!」 ▶000510◀「这么短的时间活着什么都做不了!」 ▷000511◁「絶望しただろ!? ▶000511◀「绝望了吧!? ▷000512◁さっさと死にたくなっただろ!?」 ▶000512◀想要快点死了吧!?」 ▷000513◁理人 ▶000513◀理人 ▷000514◁「……」 ▶000514◀「……」 ▷000515◁アズラーイール ▶000515◀アズラーイール ▷000516◁「これでお前が死を望めば、オレはお前の命を奪う権利が与えられる」 ▶000516◀「这样你想死的话,我就有权夺走你的性命」 ▷000517◁「お前の来世は人間になるのか虫になるのかわからないが……この世界での記憶が全て消えて輪廻 ▶000517◀「你的来世是成为人类还是虫我不知道……这个世界的记忆全都消失,轮回 ▷000518◁転生する」 ▶000518◀转生」 ▷000519◁「それでオレの仕事も終わり! って訳ね」 ▶000519◀「这样我的工作也结束了!」 ▷000520◁理人 ▶000520◀理人 ▷000521◁「……」 ▶000521◀「……」 ▷000522◁アズラーイール ▶000522◀アズラーイール ▷000523◁「さ……さっさと死んで終わりにしようぜ。 ▶000523◀「快……快点死了结束吧。 ▷000524◁こんな生きていても何の意味もない世界」 ▶000524◀在这种活着也没有任何意义的世界」 ▷000525◁アズラーイールは、手に持っていた大きな鎌を俺の首筋に当てた。 ▶000525◀亚兹拉尔拿着的大镰刀对准了我的脖子。 ▷000526◁理人 ▶000526◀理人 ▷000527◁「……」 ▶000527◀「……」 ▷000528◁アズラーイール ▶000528◀アズラーイール ▷000529◁「安心しろ……肉体的な痛みはない。 ▶000529◀「安心吧……没有肉体上的痛苦。 ▷000530◁存在が消えるだけだからな」 ▶000530◀只是你的存在消失而已」 ▷000531◁「お前は何も心配しなくていい……」 ▶000531◀「你什么都不用担心……」 ▷000532◁理人 ▶000532◀理人 ▷000533◁「……」 ▶000533◀「……」 ▷000534◁そして……アズラーイールは鎌を大きく振りかぶった。 ▶000534◀然后……亚兹拉尔大幅度挥动镰刀。 ▷000535◁アズラーイールによって明かされた、衝撃の事実。 ▶000535◀亚兹拉尔所揭示的,令人震惊的事实。 ▷000536◁さっきまで俺のいた世界は本当の世界ではなく、アズラーイールが見せていた夢の世界。 ▶000536◀刚才我所在的世界不是真实世界,是亚兹拉尔展示的梦的世界。 ▷000537◁本当の世界は、自殺を考えるほどに生きるのが辛い世界で……あと4日しか生きられない。 ▶000537◀真实的世界是,痛苦到想自杀的世界……只能活4天。 ▷000538◁そんな世界を……俺は……。 ▶000538◀这样的世界……我……。